| 2002/11/19 連合岡山「政治学習会」講演要旨 (25分) | 号外目次 / 政策 / 津村啓介ホーム |
1.はじめに
本日は、ご案内を頂き、「日本の経済と政治について」と題してお話をさせて頂くことになりました。経済と政治、この両者はコインの裏表とも言うべき深い関係にあり、密接不可分といえます。
私は、「経済」政策の当局の1つである日本銀行で、8年間のサラリーマン生活を送りました。そして、今年の6月、民主党衆議院選挙候補者公募の全国第1号合格者として岡山2区の衆議院選挙公認内定候補者となり、「政治」の世界に飛び込みました。経済と政治、2つの世界の狭間で行動をしてきたことになります。
本日は、まず私が考える日本の「経済」政策の問題点を総括し、「政治」の役割の整理を試みます。時あたかも、中央では、笹森連合会長が民主党への支援体制の見なおしに言及されたと伺っています。民主党へのお叱りは率直に受けとめなければなりませんが、民主党の歴史的役割については揺るぎない確信があります。最後に時間の許すかぎりそのお話をさせていただいて、与えられたテーマへの私なりの答えとしたいと思います。2. 経済
私たち民主党は、現在の日本の経済状況を「経済有事」の状態にあるとみています。日本国債の度重なる格下げや日経平均株価の止めどない下落、そして何よりも生活実感のレベルで、「経済有事」という意識は国民に共有されつつあると思います。この危機はいかにして起こり、危機脱出のためには何が必要なのかを考えてみます。
バブル崩壊のメカニズムについては既に多くの研究がなされており、様様な要因が考えられますが、政策対応の観点からは、私は「経営者としての政治家の不在」が最も深刻かつ本質的な問題であり、少子高齢化が進む日本の将来を考えても、早急に解決すべき課題であると考えます。
いま、私の手許に『検証・経済失政〜誰が、何を、なぜ間違えたか』(軽部謙介・西野智彦共著、岩波書店、1999)という本があります。本の帯には、「悪夢のような97年11月(三洋証券、北海道拓殖銀行、山一證券が相次いで破たんした金融危機)は、なぜもたらされたのか」と書いてあります。この本の著者たちは、不良債権問題という時限爆弾のタイマーが回りはじめていた97年春に焦点を当て、改革を標榜した橋本政権が(1)消費税率の引き上げ、(2)医療費負担の引き上げ、(3)所得税の特別減税の廃止を同時並列的に実行し、総計9兆円と言われる国民負担増を発生させた事実に着目します。その後わずか半年で、深刻な金融危機が起きたわけです。当時、それぞれの政策を担当していた大蔵省、厚生省、経済企画庁の担当者たちは、各々自分たちの政策の意義、正当性のみをしきりに強調しました。いわゆる「タテ割り行政」というやつです。そして、コントロールタワーとして政策調整に当るべき首相官邸は、岡山県出身の橋本龍太郎総理のもとで、世論や党内の風向きばかりを気にしていました。人気頼りの政権が陥りやすい罠です。そして、「不良債権問題に苦しむ日本経済に、9兆円の国民負担増がどのようなインパクトをもたらすか」について、誰も危機感、緊張感、責任感を持って考えなかったわけです。日本を1つの組織体としてみれば、この大きな組織を経営していくべき経営者、責任者が不在だったわけです。
最近のエピソードを1つご紹介します。私は先週末、ある週刊誌から取材を受けました。「日銀のある幹部が産業政策について踏み込んだ発言をしました。“企業淘汰のためには国の介入が必要、銀行保有株買い入れという日銀の決断にはそうした配慮もある”という趣旨の発言です。どう思われますか」というのがその内容でした。私は日銀幹部がそうした発言を本当にしたのかどうかについて情報を持っておりませんでしたし、日銀に対して最初から批判的なトーンで何か決め付けたような記事を書こうとしているように思えてあまりいい気持ちがしませんでしたので、取材は丁重にお断りしました。ただ、日銀のマクロ金融政策と、個別企業の存続にかかわるようなデリケートなミクロの産業政策の問題が一緒クタにされて議論されていることに惑い、あらためて日本の経済政策の意思決定プロセスの混乱を感じました。
松下幸之助さんの有名な言葉に、「政治は経営である」という言葉があります。松下政経塾出身の議員が好んで引用する言葉で、私は少々誤解を招きやすい表現だなと思っているですが、こと経済政策に関しては、私もそのとおりだと思います。政治家はもっと経営センスを持つべきです。有効に使われていない経営資源(ヒト・モノ・カネ)が多すぎます。
日本国という巨大組織には、たくさんの世界に誇りうる経営資源があります。いろいろ言われても、教育水準や勤労者のモラールは、決して他国にひけを取るものではないと、私は思っています。製造業の国際競争力、ノーベル賞を取れるような科学技術力。戦後一貫して体現してきた平和主義も、国際政治の場でもっともっとアピールしていくべき無形の財産だと思います。将来の戦略としてどのような形でアピールしていくかは別問題であり、真剣に考えなければなりませんが。
「不良債権問題」は、日本の経営資源が効率的に活かされていないことの1つの象徴です。しかし、日本が抱える問題の大きさからみれば、氷山の一角でしかありません。3.政治
“少子高齢化による労働力不足と、その結果としての国際競争力低下”は、21世紀日本の最大の国難であり、経営課題といえます。この危機をいかに克服するかが、とどのつまり、現代日本の政治家の歴史的な使命だと考えます。こうした歴史観、国家観に立って、産業政策、教育政策、子育て支援策、女性政策、高齢者政策、労働政策、その他すべての政策分野について、タテ割り行政の枠組みを超えた、政策の交通整理をしなければならない時がきています。
わかりやすい見本例を1つ挙げれば、英国労働党の若きリーダー、トニー・プレア首相が“教育”を国の経済を支える“経済政策”の1つとして捉えなおし、将来に漠然とした不安を抱えていた穏健な保守層の強い支持を得て政権に就いたケースもあります。
日本の経営者としての、政治家の責任を明確にしなければなりません。そして、危機感、緊張感、責任感のある政治システムを作らなければなりません。私は、政権交代の可能性がある2大政党制の早急な実現と、そのことによって招来される政党間の真剣な「競争」こそが、日本の政治システムに危機感、緊張感、責任感を与える最も効果的なしくみだと確信します。
「日本に健全な二大政党制を創りあげる」ための現実的な選択肢は、誰が何といっても、民主党です。民主党について、最近とかくの批評も聞かれますが、究極的にはこの1点において、民主党は不動の存在意義を持っており、歴史的な役割を負っていると私は考えます。
われわれは、危機の渦中にある国の国民です。評論家ではなく、ひとりひとりが改革の当事者にならなければなりません。
今の日本の政治を批判するのは、そう難しいことではありません。同様に、民主党批判も、非常に簡単になされています。しかし、過去の成功体験の呪縛を離れ、「お上」への依存意識を捨てて、新しい日本を建設していく作業は、本当に困難な道のりに違いありません。もう一度言いますが、われわれは評論家ではなく、当事者にならなければなりません。挑戦をしなければ、何も始まりません。
そして挑戦を持続的なものとし、成果をあげていくためには、高い志と個性的な能力を持った「チーム」が必要です。日本の一新を望み、目指す、連合の皆さんと私たち民主党のメンバー、そしてより多くの方が力を合わせていかなければなりません。仲間を増やす努力、減らすのではなく増やす努力が求められています。
私たち民主党岡山県連のメンバーは、仲間を増やすための最大限の努力を続けております。これからも続けていきます。ご指導、ご支援をお願いします。本日私の次に講演される5区のはたともこさん、雇用問題についての自作の論文を用意してこの会場に駆けつけている4区の柚木道義君らとともに、「若い力。」で新しい改革の旗を掲げていくことをお誓いして、「日本の経済と政治について」と題する私の講演を締めさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。民主党岡山県第2区総支部代表 津村 啓介
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