| 2005/4/19 本会議「代表質問」 原文 | 号外目次 / 津村啓介ホーム |
- ポスト日本版ビッグバンの国際金融戦略 (問1、問2)
- ライブドア問題と証取法改正 (問3、問4、問5)
- 敵対的買収と日本の企業経営 (問6、問7)
- 改正が見送られたポイント (問8、問9、問10、問11)
- 「円の国際化」と国債管理政策 (問12、問13)
代表質問 (4/19 衆議院本会議)
民主党・無所属クラブ 津村啓介
【 ポスト日本版ビッグバンの国際金融戦略 】民主党の津村啓介です。私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました内閣提出「証券取引法の一部を改正する法律案」並びに民主党提出「証券取引委員会設置法案」について質問をいたします。
ここには500人近い代議士が一堂に会しています。それぞれに政治家としての原点を持ち、理想と現実の狭間で日々葛藤と努力をしているはずです。本日の議題である証取法改正は、私が、前職である日銀職員時代から関わってきた日本の金融戦略の重要テーマであります。ほんの少しの時間だけ、私の政治家としての原点である、日本銀行での体験を話させて下さい。
1996年11月、当時の橋本内閣は『日本版ビッグバン』を提唱しました。当時の日本は、バブル崩壊後の長引く景気低迷で自信を失っていましたが、この構想は日本再生への明確なビジョンを示す、画期的なイニシアティブでした。東京マーケットをNY、LDN並みの国際金融市場として育成し、アジア経済のリーダーとして責任と名誉ある地位を占めようとした、日本の国家戦略に裏打ちされた内容でした。
前川リポート以来、当時の大蔵省とともに『円の国際化』に取り組み、国際基軸通貨としての強い『円』を目指して、日本の国益のために汗を流してきた、少なくとも当事者はそう考えていた日銀の、入行3年目であった私の目には、自分の国の未来に対する自信と誇りを改めて確認するに十分な、たくましい政治のリーダーシップに写りました。私は、政治の構想力と実行力を示された当時の橋本元総理の決断を今も尊敬しています。
しかし、興奮は長くは続きませんでした。ある日、私の職場であった日銀営業局は東京地検特捜部の家宅捜索を受け、過剰接待にまみれた前近代的組織のそしりを受けました。様々なドラマがあり、社会の不条理を感じたこともあります。海外の金融危機や景気の伸び悩みも続き、短期的な政策対応に追われる中で、いつしか日本の未来を語る余裕も、そして自信と誇りも、少しづつ失せていったように思います。
その後、広く社会に人材を募るわが党民主党との出会いがあり、候補者時代も含めて3年が経ちましたが、私の政治活動の原点には、いつもこの時の悔しさがあります。いまようやく、不良債権処理の問題はマクロの局面からミクロの局面へのステージを変え、日本の金融行政は新たな転換期を迎えました。日本の金融部門には少しづつ余裕と自信、そして誇りが戻ってきたように思います。
伊藤大臣、私は今こそポスト・金融ビッグバンの国際金融戦略を新たに立ち上げる時だと考えますが、いかがでしょうか。金融ビッグバンの再評価と新たな金融市場整備への取り組みについてご所見を伺います(問1)。
大臣、この問題は、日本の中長期的な国益と深く関わる大切なテーマです。
シンガポール、香港など、他の市場に遅れを取ってからでは取り返しが付きません。市場間競争は一度勝負が付いたら、簡単には覆らないという性質を持っています。経済大国、超大国としての栄光の時代を終えて久しい英国が、今なお金融大国として世界に君臨し、多くの人材を集めている歴史的事実から、私たちは何を学ぶべきでしょうか。ちまたには、不良債権処理が峠を越えたことを以って金融担当大臣のポストを軽視する向きもあります。しかし、国家戦略を打ち出すのは政治家の大切な仕事です。いまこそ強い政治的リーダーシップが求められていると信じますが、現職大臣としての所見と抱負を聞かせて下さい(問2)。
【 ライブドア問題と証取法改正 】法律論に移ります。昨日、フジテレビとライブドアの和解が大きく報道されました。今回の証取法改正は、この一連の騒動、とりわけホリエモンこと堀江ライブドア社長の資本市場におけるパフォーマンスが問題提起の役割を担ったことは明々白々であります。なかには、感情的な反発からかこの問題を「外資警戒論」や「堀江社長個人への批評」といった形で、非合理的に論ずる向きもありますが、ここは立法府ですので、事実に基づいた冷静な議論を行っていきたいと思います。そこで具体的にお伺いします。
大臣は、2月8日のライブドアによるニッポン放送株購入に際し、逸早く「適法である」とコメントをされました。しかし、ある時突如として規制対象に加えるとの判断をされました。少なくとも多くの市場参加者や国民の目にはそう映ったことでしょう。立会外取引に対する大臣のお考えはある時突然変わったのでしょうか。今回のライブドアの取引についてその評価を改めて伺いたいと思います(問3)。また、ライブドアから事前に照会がなされたとの報道もありますが、事実の確認をお願いします(問4)。
国民の高い関心を集めた一連のライブドア騒動も、昨日の和解発表で一つの局面が幕を閉じました。今回のフジテレビとライブドアの騒動は、単に若きカリスマ「ホリエモン」の冒険物語として記憶されるべき性質のものではありません。和解発表という節目を機に経済界からは評価の声が多く聞かれ、企業価値や株主利益、M&Aに対する国民的理解を進めた意義が指摘されています。この機に、今回のライブドア問題の投じた問題提起に対する大臣の受け止めについてお聞かせください(問5)。
【 敵対的買収と日本の企業経営 】次に「敵対的買収」の増加が日本企業の経営に与える影響について伺ってまいります。ライブドアを巡る一連の騒動で、「敵対的買収」がクローズアップされましたが、その防衛策として、株式持ち合いの復活という選択をする企業もあるといわれます。銀行保有株式取得機構を創り、日銀にも銀行保有株の買い入れをさせるなど、公的資金を5兆円も使って持ち合い解消を国策的に支援してきたことを考えれば、時計の針を逆に戻す形です。到底看過しえないと考えますが、買収防衛策としての「株式持ち合い」の復活について大臣の評価をお聞かせください(問6)。
なお、「敵対的買収」については、先般の会社法改正案を巡る代表質問の中で南野法務大臣から「敵対的買収は増えない」という見通しが示されました。一方では、より広い定義ではありますが、小泉首相は対日直接投資の拡大を容認しています。日本市場における敵対的買収の増加について、国際金融市場戦略の観点に立った、大臣の評価を聞かせてください(問7)。
当質問については、民主党の法案提出者からも意見を伺いたいと思います。
【 改正が見送られたポイント 】堀江社長が多用する取引手法として、CB発行とその後の株式分割を問題視する向きもあります。すなわち、株券が印刷されるまでの間、株式の流通量が減ることを見越し、そこに空売りをかけて株価を吊り上げて大きな利益を得るというスキームを不公正取引とみる意見です。定義にもよると考えますが、個人投資家を株式市場に呼び込み、日本の市場の厚みを増していく上で株式分割の制度は有用です。私は、本質的には株式ペーパーレス化の加速によって技術的に解決すべき問題と考えますが、欧米と比較した日本の株式ペーパーレス化の現状について教えて下さい(問8)。
今回、株券大量保有報告制度、通称5%ルールの見直しが見送られました。ライブドアを巡る騒動では、いわゆる村上ファンドの株式売買の実態が長期間ブラックボックスとなったため、市場に過度の憶測を生んだとの指摘もある反面、報告免除の特例の範囲について線引きが困難とする実務的な声も聞かれます。大臣はどのように対応されるお考えでしょうか(問9)。
課徴金制度の早期導入の必要性についても伺います。金融庁は当初、本法律案の柱は有価証券報告書の継続開示義務違反に対する課徴金制度の導入であると説明をしていましたが、内閣法制局との調整が付かず、導入を見送りました。不祥事の多発を考えると、市場の信頼回復は急務であるはずですが、今後の取り組みについて聞かせてください(問10)。
このほか、今回の証取法改正は、「買収後の経営計画の開示義務」「TOB期間の延長」「買付価格の下方修正」等が盛り込まれていない点で不十分との指摘があります。これらの必要性について大臣のご認識を聞かせて下さい(問11)。
【 「円の国際化」と国債管理政策 】財務大臣にお伺いします。
市場インフラの整備を行うのが金融庁の役割だとすれば、そこで売買される金融商品である我が国の通貨「円」や「日本国債」の商品性向上を進めるのが財務省の役割であります。近年は目先の景気対策に追われて長期的な通貨政策が十分戦略的に運営されていない印象がありますが、「円の国際化」に対する今後の取り組みを聞かせてください(問12)。また、国債管理の観点に立った、金融庁の市場整備との連携のあり方についても伺います(問13)。
最後に民主党案について、質問します。
今回の法案提出の前提にあるわが国証券市場の問題点について率直にお示しください。また、そうした中で、民主党案は何をめざし、どのような道筋で問題解決を実現するのか。政権準備政党としての抱負をお示し下さい。また、今回の政府案に対する見解も合わせてお尋ねいたします。
以上、縷々ご質問をいたしましたが、私の質問に込めました最大の含意は、「国際金融センター」としてアジアのリーダーになるという選択、シナリオは、目指す価値があり、かつ十分な実現可能性を有する数少ない国家目標の1つであることということです。
近い未来の人口減少が確実となり、潜在的な成長力の伸び悩みが懸念され、経済・外交・安全保障のあらゆる分野で周辺諸国との厳しい競争にさらされている現在の日本の立場を顧みれば、金融市場のインフラ整備による国際競争力の強化は、国策的に取り組むべき喫緊のテーマだといえます。
私たち政治家が、政治家としてのリーダーシップを存分に発揮するにふさわしい戦略分野であることを重ねて強調し、わが民主党には政権準備党としてのビジョンと、そのビジョンを実現するリーダー、そしてそれを支えるスタッフが豊富に備わっていることを申し述べ、政権交代によって日本の国際競争力向上に資することをお誓いして、私の代表質問を終わります。以 上
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