財務金融委員会 第7号  2004年3月2日(火) 午後1時3分開議 目次

津村啓介HP


本日の会議に付した案件


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田野瀬委員長
次に、津村啓介君。


津村委員
民主党の津村啓介と申します。竹中大臣への初めての御質問となります。よろしくお願いします。

本日は、主に、九六年秋に、当時の橋本首相の強いリーダーシップで提唱されました日本版金融ビッグバンの歴史的な意義、そして今日残された課題につきましてお伺いをしたいと思います。

三十分の質問時間をフルに使いまして、生命保険業界のあり方や年金資金の運用等、個別具体的なテーマにも触れながら、大臣の認識を伺いたいと考えておりますが、まずその前に、冒頭、二点ほど、竹中大臣が現在置かれている環境、お立場につきまして御質問をさせてください。

まずは、地方経済の実態に対する大臣の御認識と、その実態把握のための御努力についてでございます。

最近の月例経済報告におきまして、内閣府は、「景気は、設備投資と輸出に支えられ、着実に回復している。」との認識を示しております。次第にトーンを上げながら景気回復をPRしていると受けとめているわけですが、率直なところ、ある種の違和感を禁じ得ないわけであります。なぜなら、少なくとも、地方経済や中小企業経営に対する目配りというものが、この報告や大臣の御発言からは十分には感じられないからであります。

しかし、そうはいいましても、実は、竹中大臣の置かれているお忙しいお立場を考えますと、余り厳しく申し上げられないかなという気もします。大臣は、現在、経済財政と金融という二つの重要な担当大臣を兼務されていますが、大変な激務とお察しいたします。また、政策判断に必要な生きた情報を集めるための時間も、大臣御自身が十分満足されるほどにはとれないのではないかと御心配を差し上げます。

例えば、小泉内閣発足以来、鳴り物入りでお始めになった例のタウンミーティングについて、少し数字を調べさせていただきました。大臣の御出席回数を内閣府と金融庁の皆さんから伺ったわけでありますが、経済財政担当大臣を専担されていました平成十三年五月から平成十四年九月の十七カ月の間に、計二十九回、月平均一・七回の御出席をされていました。それに対しまして、金融担当大臣を兼務されました平成十四年十月以降は、合計で八回、月平均ですと〇・五回という数になります。いただいた資料が正しければ、特に最初の半年間、平成十三年中には二十四回、月四回、毎週のペースで御努力をされていた。しかし、ことしに入っては、先月一度行かれただけということでございます。

これだけ地方経済の現状について議論がされている中でありますから、ぜひ、こうしたことも優先順位を高く置いていただきたいわけでありますけれども、この数字を見る限りでは、タウンミーティングの優先順位が急激に落ちているという印象を持ってしまうわけです。

私は、タウンミーティングのあり方自体にも実は若干の疑義も持っておりますので、これがすべてだとはもちろん申し上げません。しかし、御自身が提唱されて、当初は積極的に取り組んでおられた取り組みなわけですから、このタウンミーティングにおいてさえこうであれば、あるいは、それ以外のチャネルでも地方や中小企業の声を数多く吸い上げられているということにはなかなかなっていないんじゃないか、そういうことを心配しているわけであります。

以下、私の推測ですけれども、こうした大臣の激務ぶりを見て、国民、とりわけ地方や中小企業からは、竹中さんは経済のいいところしか見ていないんじゃないか、あるいは、日本の国の全体、隅々まで目を配って、真の日本の国益を真剣にお考えになるその余裕がないんじゃないか、そういった心配の声が上がっているわけだと思います。

私は、経済財政、そしてさらに金融も担当される大臣となれば、相当な配慮を持って、情報のアンテナを張って、こうした永田町の部屋とかあるいは霞が関の机の上で議論するのではなくて、地方経済の空気、あるいは中小企業経営者の声を生で感じていただかなければならないと思うわけです。また、逆に、竹中大臣御自身の声も、生の声を現場の皆さん、地域の皆さんにお聞かせいただいた方が、これは、説明責任という意味でも、またマクロ経済政策の円滑な運営という観点からもよりよい努力なのかなという気がするわけですが、大臣が地方経済や中小企業の経営実態を把握されている中で、その努力、あるいはその努力に基づく地方経済、中小企業経営に対する現在の御所見をお聞かせください。


竹中国務大臣
津村委員から、冒頭、私の政策に臨む姿勢に関して大変重要な御指摘をいただいたと思います。また、タウンミーティングの出席回数等、大変丁寧にお調べいただきました。驚きました。

まず、地方の経済が重要である、マクロ的経済全体は総じてよい方向に向かっているが、それが必ずしも地方に十分浸透していない、そういう危機感を非常に強く持っております。したがって、地域再生本部を内閣の中につくってほしい、地域担当大臣を設置してほしい、地域再生プログラムをつくってほしい、それの以前に特区という制度をつくってほしい、そのことを内閣の中で提唱し、実行に移したのは私自身でございます。

私自身、地域の出身でございますし、和歌山という地方都市の出身でございますし、地域の状況は私なりの実感を持って見ているつもりでございます。

タウンミーティングの回数が減っているのではないかという声に関しては、これは御承知だと思いますが、小泉内閣が平成十三年の四月に発足してから、六月から半年の間にすべての都道府県を回る、これも私自身が総理と官房長官にお願いして、そのようなプログラムをつくりました。

毎週、二つのチームに分かれまして二カ所ですから、大体、毎週末に三カ所から四カ所でやっていたんです。それには、私は半分には出ました。二つのチームに分かれますから、一方に出たら一方は出られません。したがって、まさに、十一月までは、毎週土曜、日曜はこのタウンミーティングで、週末地方を走り回っておりました。その後、地域を一巡した後、タウンミーティングのペースも落ちておりますので、それがこういう数字にあらわれていると思います。

私自身の、経済財政を担当する大臣としては、引き続き、地域の情報のアンテナを張り続けることは大変重要だと思っております。実は、今も地域に出かける機会は相当多うございます。二月、三月は予算委員会がありますので、余り過密な日程、出張は入れないようにしておりますが、例えばですけれども、この週末、私、また北海道へ参りますし、一週置きまして、さらに小豆島、姫路等々でお話をする機会、いろいろな方のお話を伺う機会を入れております。

今申し上げたのは、いわばオンサイト、現場に出かけた情報収集でありますが、オフサイトもこれは重要でございまして、内閣府では景気ウオッチャー調査というのを行っております。毎月行っておりますが、景気動向に敏感なタクシー運転手やコンビニ店長、スナックの経営者等々、全国二千五十人の方々の生の声を聞く、それを収集して、さらに政策に反映させるという機会も持っております。

繰り返し申し上げますが、私自身、地域に積極的に出かけて、引き続き皆さんと対話する機会を持っているつもりでございますし、もちろん、時間の限界はございますが、そのような、少なくとも心がけはなくしていないつもりでございます。


津村委員
二つの目の御質問を、多少重なるわけでありますけれども、少々制度的といいますかアカデミックといいますか、日本のあるべき政治システムを考えるための御質問ということで、多少重なる御質問をお許しください。政治的任用制度の是非に関するものでございます。

竹中大臣の就任は、小泉内閣の発足時そして改造時の二度にわたりまして、世間の耳目を大変引きました。目玉人事とも言われたわけであります。高名な経済学者としての大臣の高い識見と、そして弁舌さわやかな印象が国民に期待を抱かせたもの、そう理解しておるわけです。私自身、アカデミズムの世界とリアルな政治の世界の接点はもっと多くてもよいと常日ごろ考えておりまして、そういう意味からも注目をしてまいりました。

大臣は、国民との直接のパイプを持った職業政治家ではいらっしゃいません。民間人や学者を登用する政治的任用制度、いわゆるポリティカルアポインティーのシンボル的な存在でいらっしゃるわけでありますけれども、実際に三年近くお務めになってみた大臣自身のお言葉で、政治的任用のメリット、デメリットを聞かせていただきたいと思います。とりわけ、大臣が、東京と地元を往復して地域の声を吸い上げる職業政治家でいらっしゃらないという現実といいますか事実に照らした上でお答えをいただければと思います。

具体的にお答えいただくことによりまして、竹中さんは国民の声を聞いていないとか、日本の国益のために働いていないといった、批判、怨嗟、時には中傷に対する大臣からのお答えにもなるのではないかと思います。


竹中国務大臣
私のように国会議員でない人間が内閣に入る、これは、憲法等含めて、制度上そのようなことが内閣の半分以下で今は可能になっているわけではございますが、現実に、事例等々からいっても大変難しい事例なんだと思います。民主党の菅代表も、次の内閣をつくった場合は、例えば二名だったか三名だったか忘れましたが、民間の方を閣内に入れるというようなお話をしておられたと記憶をしております。

いずれにしても、外からこういう民間人が入るということの一般的なメリットというのは、やはり、多少なりとも専門的な知見を持った人間が入って、それを政策に生かせということなのだと思います。さらには、より長期的な観点から、民間の自由な発想を生かせ、そういうことなのではないかと思っております。

デメリットでございますけれども、恐らく、今委員おっしゃいましたように、私自身、選挙の地盤というのを持っているわけではございませんから、選挙の地盤、地元から直接の声を聞くという機会は、これはないということなのかもしれません。これがどのように評価されるかというのはいろいろな御意見のあろうところだと思います。

一般論としては今申し上げたとおりでありますが、私自身、どのようにメリット、デメリットがあるというふうに見ていただけるか、これは、私は評価される側でございますから、せいぜい、わずかでも専門的知見を生かして、いい金融行政、それとマクロ経済財政の行政を行って、政策を示して、総理の構造改革をお助けすることによって、後々、いろいろな方々からいろいろな御評価をいただきたいというふうに思っております。


津村委員
先ほども申し上げましたとおり、地方経済や中小企業の経営に対する目配りが十分じゃないんじゃないか、そういった見方があるわけですし、また経済の現状につきましても、シマウマ論とか、いいところと悪いところが分かれているという話もある現状でありますので、ぜひ、その政治的任用のデメリットが出ないように御努力をいただきたいと思います。

二つ、そういう、竹中大臣の最近のお立場についてお伺いしたわけですが、ここからは、東京金融マーケットに関する諸問題につきまして、日本版金融ビッグバンの論点整理という形で伺ってまいりたいと思います。本日は時間が十分ございませんけれども、今後も長い視点でフォローをさせていただきたいと考えておりますので、多少総論的なところから伺わせてください。

いわゆる日本版金融ビッグバンですけれども、先ほども申し上げましたとおり、九六年秋に提唱されまして、当初の構想としては、二〇〇一年までに東京マーケットをロンドン、ニューヨーク並みの国際金融マーケットに育てていこうという非常にアンビシャスな取り組みとして打ち出されたわけですが、その後、たび重なる金融危機の中で、金融システム安定化という大義のもと、目の前の危機に対する対応が優先されまして、システム改革が後ずれしてきたという経緯があると思います。そうした繰り返しの中で、金融ビッグバンという言葉自体が少しずつ風化をし、置き去りにされたような印象さえあります。

しかし、新たな公的資本注入や各種金融自由化も今国会の検討課題となっている中で、明確なゴール設定や将来像が不明確になっていると、政策の予見可能性が低まるといいますか、結局何を最終的なゴールにしているかが見えないという意味で、国際マーケット、海外の投資家から見れば、日本のマーケットには政治的なリスクが常にある、政治リスクの高いマーケットじゃないかという印象を持たれかねません。そのこと自体が、本来の目的であったはずの、東京マーケットをグローバルスタンダードに引き上げるという目的に、ともすればそごしてしまうということを大変心配しております。

ぜひ、このタイミングで整理をさせていただきたいのですが、日本版金融ビッグバン構想が今どういうステータスにあって、あるいは、それに続くそのシステム改革の取り組みが今どういうゴールを持って、国際的な金融市場としてビジョンを持って取り組みがなされているか、そのことを整理していただければと思います。


竹中国務大臣
津村委員御自身、日本銀行等々で、大変この金融の分野で深い御見識を既にお持ちだというふうに思います。

今の御質問は、橋本総理の平成八年十一月の総理指示、九六年の総理指示を受けて、それが今どのように進化、今の中に生きているのか、そういう、ある意味で評価に係る御質問でありますので、なかなか今の現場を担当している者としては難しい面があるわけでございますけれども、当時の橋本総理の指示というのは、日本経済が二十一世紀の高齢化社会においても活力を保っていくために、また、我が国金融資本市場を世界的に競争力のあるものにするために、フリー、フェア、グローバルの三原則のもとで、銀行、証券、保険の各分野において大幅な自由化、規制緩和が行われた、それが金融システム改革法という形で具体化して、それに関連するさまざまな自由化への流れをつくったというものであると思っております。

そのビッグバンの総理指示の中にも書いているわけでございますけれども、同時にこれは、当時、不良債権の問題等々にも言及されていたわけでありますけれども、当時と若干状況が違うのは、この不良債権といういわば負の遺産の部分が、当時想定されていたよりも、その後の進展で非常に重いものであるということが明らかになってきた。我々の金融再生プログラムというのは、まさにその部分に焦点を当てて、それを早くもとに戻そうではないか、この不良債権問題を終結、あと一年程度でさせようではないかということであると思っております。

したがって、大きな流れとしての日本版ビッグバン構想、ビッグバンというのは、これは先ほど申し上げました金融システム改革法の流れを受けて、我々も引き続きこの流れの中で、世界の中で自立できる立派な東京市場をつくろう、ないし、これはもちろん東京だけではございませんが、金融資本市場をつくろうということで努力を続けております。ただ、それに加えて、その後の若干の修正としては、中期的には、不良債権問題という負の遺産の部分に対して、当面のある程度の政策のリソースを割いているという状況ではないかと思っております。

こうしたことを踏まえて、やはり金融ビッグバンの精神は我々としては引き継いで、しっかりと、競争力のある市場をつくっていかなければいけないと思っております。


津村委員
もう一つ、金融ビッグバンとは直接重なるものではありませんが、制度的な質問といたしまして、金融行政の一元化というテーマにつきまして御質問したいと思います。

金融行政は竹中大臣の一元的な責任のもとで整合的に行われているのでしょうかという質問なわけですが、ここにこういう本がございまして、これは、私、日銀時代に、日銀法改正そのほかさまざまな制度改正があった、これをどう理解していけばいいのかということで、一つの種本といいますか、仲間で読んでいたりしたものなんです。

これは、当時の大蔵省や日銀を担当されていた記者が膨大な関係者のインタビューをもとに書かれた本なわけですけれども、この中に、九七年秋の金融危機、山一証券が破綻をしたりというときですけれども、あの金融危機は、その年の春に行われた一連の経済政策が、例えば消費税率の引き上げで国民負担が五兆円程度ふえたとか、あるいは医療費の負担増が二兆円程度あった、特別減税の廃止が二兆円程度あった、こういった、それぞれはよかれと思ってなされた政策が、この著者に言わせれば、無謬の合成という言い方をしています、よく言われる言い方で言うと、合成の誤謬というか、そういう言い方になると思うんですけれども、これが大変、日本の金融システムが崩壊の危機に瀕する大きな背景になったということをこの本は言っております。

少し時間もありますので、その該当箇所を読んでみたいと思うんですが、「経企庁のエコノミストたちは特別減税の廃止に疑問を抱きながら翌年の経済見通しを作成した。 大蔵省主税局の幹部たちは消費税率の引き上げを確実なものにしようと走り回った。 汚職事件の逆風の中で、医療制度改革に全力を挙げたのは厚生官僚だった。 政策立案にたずさわる官僚はみな自分たちの仕事に忠実だった。しかし、次の年に全体でどの程度の負担増が発生し、日本経済の成長にどのくらいのマイナス効果があるのか。そんな基本的なファクターを政策立案にたずさわる者たちの誰一人としておさえてはいなかった。」こういった記述になっているわけです。

当時、先ほど大臣からも触れていただきましたけれども、私自身、日銀の営業局証券課という部署に在籍をしておりまして、まさにこの間の事態の推移を間近に見ておった一人であります。

その後、財務省と金融庁の分離、そして日銀法改正による日銀の独立性強化といったプロセスを経まして、日本のマクロ経済政策運営を少しでも透明化しようということでそういう取り組みが図られ、不透明なパワーバランスによる裁量行政を排除しながら、ここが昨今も問題になるわけですけれども、排除しながら、経済財政諮問会議の設置等により、一元的な意思決定プロセスを築こうとされてきた、そういうふうに理解をしているわけです。

しかし、そうした中で、いわゆる金融行政あるいは金融業界の健全な育成を促す機能が金融庁に一元化されて竹中大臣の責任下にある、私は、こう理解してきた、あるいはそれがその改革の趣旨だったと理解しておるわけなんですけれども、最近の幾つかの取り組み、例えば総務省による簡保、共済の新商品認可などを見ていると、こういったことが果たしてその一元的な金融行政としてなっているのかということを疑問に思うわけです。また、ほかにも多くの省庁が共済等の商品について所管をしているという事実もあります。

合成の誤謬ということになるかどうかわかりませんけれども、日本銀行は、現在、デフレ克服のために低金利を継続しております。また、総務省は、簡保、共済の新商品を認めました。金融庁は、生命保険の銀行窓口販売の解禁を、まあ、これはまだ審議会で御議論されているとは思いますけれども、一部報道によれば、本年中にもこれは解禁する可能性があるということも言われております。

そうした中で、それぞれは一定の流れや理由がある取り組みだとは思いますけれども、言うなれば、合成のあやによって、具体的に言えば、生命保険業界に、この今私が申し上げた三つのマイナス効果というかしわ寄せが寄せられているのではないか、そういう気がするわけですけれども、これは、経済財政、金融の両担当を兼務されている竹中大臣の一元的な責任のもとで明確な意思に基づいて行われている取り組みと理解すればよろしいでしょうか。


竹中国務大臣
今の経済政策の決定プロセスの極めて本質的な部分の御質問であるというふうに思います。私自身、常に大変難しい問題であるというふうに認識しながら仕事をしているポイントであります。

一般的な部分と、それと、最後、特に金融の生保に関する部分がありましたので、少し分けてお答えさせていただく方がよいと思います。

まず、全体の流れにつきましては、委員も言及されました、やはり経済財政諮問会議の役割というのが、これは私は大変大きいというふうに思っております。

この経済財政諮問会議には財務大臣、経済産業大臣、それと総務大臣、日銀総裁においでいただいて、加えて、その時々、必要に応じてまた別の担当大臣にも臨時議員として参加をしていただいて、総理の前で直接議論をして決める、必要な調整を行って、総理からの指示も出していただくというものでありますから、その意味では、いわば縦割りの弊害を、縦割りの弊害、もちろんまだまだあると思います、しかし、その縦割りの弊害を破って、整合的な政策を行っていく上でやはりこの機能が重要であるということ。その役割は、まだこの制度そのものが始まりまして三年目なわけでありますけれども、これは、大臣を呼んで集中審議を行ったりする過程で、少しずつではありますけれども、よい方向に向かっている。しかし、さらに努力をもちろんしなければいけないというふうに思っております。

合成の誤謬という言葉をお使いになりましたが、我々はよく、自分の庭先だけきれいであればよいのか、そういう言い方をするわけでありますが、どうしても、特に官庁は、官僚として一生懸命やればやるほど、自分の庭先がまずきれいでなければいけないというところがありますので、そこはやはり総理のリーダーシップもいただきながら、総理の御指示もいただきながら、やはりさらにここはしっかりやっていかなきゃいけないと思います。

金融についても同じ問題がございます。金融についても、例えば政府系金融機関等々は、それはそれぞれの所管省庁がございます。例えば郵政公社は、ことしから信用リスクの検査の部分については金融庁で行っておりますが、郵政公社の監督そのものは総務省で行われているという問題もございます。これは、制度は常に進化をしなければいけませんが、そういうことも踏まえながら、総合的な立場で議論をしていかなければいけないと思います。

生保については、これは、低金利である、そのことが資産運用を主たる業とする、収益源とする生保に対して非常に不利な状況をつくっているのではないかという御批判は承知をしております。しかし、これはまさに総合的に考えて、低金利をとることによって、そうすることによって、それを上回る国民経済全体の利益がある。逆に、今、生保のことを考えて金利を上げたならば国民経済的には大変になるということは、これは御理解いただけると思いますので、そういうことを踏まえながら、今非常に狭い道を歩んでいる。しかし、生保も、今のところ、逆ざやを克服しながらも一兆円を超える基礎利益を計上しておるわけでありますけれども、引き続き金融が正常化するようにしっかりと運営をしていきたいと思っております。


津村委員
ありがとうございます。

多少時間が押してまいりましたので、細かいといいますか、具体的な事実に関する御質問を一つだけさせていただいて、次に、お越しいただいております森副大臣への御質問、もう一つありますものですから、竹中大臣への最後の質問とさせていただこうと思うんです。

今、生保の話でありました、もちろん、私も日銀の金融政策と絡めてというつもりではなかったんですけれども、少なくとも、金融庁のお仕事として、生命保険の銀行窓口販売の解禁の問題につきましては大臣の御判断があり得ると思っておるんですけれども、消費者側に新たなリスクを発生させる懸念がある、保険業界という意味だけじゃなくて、消費者の方にも、これは消費者保護法制等とも絡みまして一つの大きなテーマを与えていると思うんです。

卑近なことを申し上げますけれども、例えば私の同世代には、銀行で、まさに窓口で、投信とかあるいは外貨預金とかそういった商品を販売しているような友人が何人もおります。このところ販売商品が急速に拡大しておりますので、私の友人なんかも、研修があって、試験があって、資格を取って、またノルマを課されて一生懸命売ってということで、相当タイトなことをやっておるわけです。これがまた保険商品も売れということになっていくと、それは、彼らが大変だということを言いたいわけじゃないんですけれども、消費者との間でトラブルが発生し得る潜在的なリスクといいますか、そういったプレッシャーがあるんじゃないか。

また、もう少し大きく言いますと、保険については、融資等の取引との絡みで圧力販売の懸念も既に指摘があるわけでして、こうした中で、専門的な商品知識を持って全国で顧客への説明をしている数多くの生保レディーや営業の方々がいるわけですけれども、こういう、先ほど私が合成の誤謬と呼んだような生保業界への過度なプレッシャーによって、急激に銀行の窓口販売に顧客がシフトするようなことになれば、まさしく消費者保護が重要なテーマとして浮上することになるのではないか、そのことを申し上げたいと思います。

消費者保護法制の議論を加速するとともに、金融庁内でも保険課初め事後チェック機能を果たすマンパワー、定員の増加等も当然これは必要になってくると思うわけですけれども、一部報道では、先ほど申し上げましたように、窓口販売が本年中にも解禁されるかもしれないという話もありますが、本年中かどうかはともかくとして、消費者保護拡充の努力について、例えば定員の増加とかあるいは保護法制の法案提出とか、具体的な御予定があればぜひお聞かせください。


竹中国務大臣
保険商品の窓口販売に関しては、消費者の新たなリスクの問題も含め、委員御指摘のようにさまざまな御意見があるということを承知しております。

先ほど、委員、金融ビッグバンのお話をされましたが、そうした金融ビッグバンに象徴されるような、一つの世界の傾向としては、金融機関、金融業態そのものの垣根をやはり低くしていって、総合的なサービスを消費者のために受けられるようにすべき、これは世界の一つの流れとして強く存在しているというふうに思っております。それは、消費者の利便に資するという面も私は非常に大きいと思います。

同時に、生命保険に関しては、やはり、二つの点で、今回の場合非常に特殊な問題があるということも事実だと思います。それは、生命保険という商品の特性。これは、金融商品とはいいながら、極めて個人にユニークなものであって、自分が一度契約したら、それを売って流動化したりとか、そういうものにはなじまないわけであります、極めて長期のものでありますから。その特性を考えて、それは売り方にもやはり反映されてくる可能性がある。

もう一つは、銀行の優越的地位というのが強いことによる弊害が生じないであろうか、そのような御懸念は、これはこの場でもいろいろ御表明をいただいておりますし、真摯に耳を傾ける問題であろうと思っております。

いずれにしましても、現在、金融審議会の第二部会、保険の基本問題に関するワーキンググループで、この中で、やはり賛否両論いろいろな方がいらっしゃいます。いろいろなお立場の方がいらっしゃる、専門家がいらっしゃる、その方々の間で幅広い視点から御検討いただいているところでございますので、その検討も踏まえて、我々として適切にぜひ判断をしていきたいというふうに思っております。


津村委員
竹中大臣、ありがとうございました。

次に、同じく、議論の出発点といたしましては同じ視点から、東京金融マーケットの健全な発展という観点から、今国会において審議が予定されております年金の運用の問題につきまして、一点だけ森厚生労働副大臣に御質問したいと思います。

東京マーケットの参加者は、現在の日本の年金資金運用制度は政治介入の余地が大きいのではないか、そういったような疑いといいますか、そういう目を持っている方も大勢いらっしゃいます。そうした一つのあらわれとして、株価が下がるたびに年金資金を利用したPKOについての思惑が生まれやすい環境にあるわけですけれども、こうした思惑が生まれやすい市場環境自体が東京市場を国際レベルに引き上げていく上での一つの大きな障害、あるいは非常に大きなマイナスになっていると思います。改めるべきと思いますが、いかがでしょうか。

今次改革における工夫として、例えば独立行政法人の設立目的に、現在、専門性の徹底とか責任の明確化ということがうたわれていますが、政治からの独立性を新たに加えて明記するとか、あるいは運用委員会の人選が、まだ特に基準が示されておりませんけれども、そうした基準を明示していっていただくとか、あるいは、約一〇%ほど残っております自家運用がありますけれども、これも、外からなかなかわかりにくい、思惑を呼びやすい位置づけだと思いますので、この自家運用についてはもう外部委託にして廃止をするとか、こういった具体的な取り組みについて御検討をされていらっしゃいますでしょうか、お尋ねいたします。


森副大臣
まず、実情でございますけれども、年金積立金の運用につきましては、長期的観点から定めた基本ポートフォリオに基づき運用を行っているところでございまして、実際の運用において、株価維持操作、いわゆるPKOは一切行っておりません。また、年金積立金の運用に従事する関係職員等については、法令上、専ら年金加入者の利益のために行わなければならないと定めているところで、年金積立金を利用したPKOなどの政治的介入は、制度的に排除されているところでございます。

また、今次の改革案におきましても、この点につきましては従来と同様の整理を行っております。また、独立行政法人におきましても、運用に係る情報開示を徹底することで、透明性を高める中で、PKOについての思惑も払拭されていくものと考えております。


津村委員
もう質問時間が終わりましたのでこれで終わりますけれども、この金融のテーマは、先ほど私、一元化ということを申しました。責任が明確化されることが非常に重要だと思うんですが、しかし、年金の問題も含めて、幅広いお立場から同様の意識を持って取り組んでいただかなければならない、そういうテーマだと思います。今後とも引き続きフォローさせていただきますので、よろしくお願いいたします。


財務金融委員会 第7号  2004年3月2日(火) 午後5時12分散会 目次

津村啓介HP