| 予算委員会第六分会 第1号 2004年3月1日(月) 午前11時開議 | 目次 |
本日の会議に付した案件
北村主査
次に、津村啓介君。
津村分科員
民主党の津村啓介と申します。本日は、地域コミュニティーにおける人材育成を基調テーマとして質問をいたします。よろしくお願いいたします。
冒頭、私の問題意識を簡単に御紹介いたしまして、その後の御答弁の参考にしていただきたいと思いますが、私は、日本の未来像、将来ビジョンを描くに当たりまして、地域における人と人とのつながり、いわゆる地域コミュニティーの役割が必ずしも現在十分な評価を受けていない、むしろ過小評価されているのではないか、そう考えております。
間もなく、二年後、二〇〇六年をピークといたしまして日本の人口の減少が始まるという推計もございます。そうした現代にありまして、日本経済の活力を維持し、地域の暮らしの安心、安全を守っていくためには、地域コミュニティーの役割が従来にも増して重要になっていくものと考えます。青少年犯罪の増加を思えば、治安の問題も避けて通ることはできません。
私は、八年余り日本銀行でマクロの経済政策に携わってきました。市場、すなわちマーケットが完全に合理的であれば、国と個人との間に介在する各種の中間的な団体、組織は市場の効率性を阻害する要因になると考えています。しかし、地域を歩き、地方経済の実態をつぶさに見れば、マーケット原理が無条件に当てはまる例はむしろまれであり、地域コミュニティーが行政や市場の役割を補完している実例を数多く目の当たりにしているところでございます。
本日はこうした観点から、私がとりわけ重要視いたします農家や農協、JAを中心とした農村コミュニティー、消防団等の地域の自主防災組織、あるいは学区単位の教育コミュニティーに焦点を当てまして、地域コミュニティーにおける次世代の人材育成を底流的なテーマとしながら、農林水産省、総務省、そして文部科学省の各担当大臣、副大臣に以下の質問をいたします。
一つ目の質問でございますが、農村政策の将来ビジョンと来年度予算における具体的な取り組みについてでございます。
私の主張を端的に申し上げれば、農村の疲弊による日本の国力の低下を懸念する立場から、現在の場当たり的な農業振興のあり方を見直すべきであるというものです。農村の活性化、次世代への継承というときに、村における生活環境や新たなライフスタイルの提案は決定的に重要なポイントになります。箱の整備ではなく人間にスポットを当てた政策、これが今何より求められているのではないでしょうか。
現在の農村は、農業のみを生業とする農家だけではなく、兼業農家や元農家、さらには非農家住民などから成り立っている混成のコミュニティーであります。将来にわたる持続可能な発展を考えれば、健全な農村コミュニティーを維持していくために、専業的な農家のみならず、兼業農家や非農家の知恵やアイデアを必要とすることを肝に銘じなければなりません。
多くの農村では、ほとんどすべての農家が用水路や農道の維持管理などの仕事にボランティアで参加をしています。都会では失われつつある共助、共存の精神が息づいております。こうした日本の農村のよき伝統が、農家の戸数減少や高齢化に伴って困難になってきている現状を克服していかなければなりません。次世代の育成、若い力の発掘が求められています。
こうした主張は、実は私が身近に指導を受ける岡山の農業関係者からも広く強く聞かれています。また、アカデミズムの観点からも、食料・農業・農村審議会委員を務めていらっしゃいます東大農学部の生源寺教授らが、最近の日本経済新聞への寄稿などで繰り返し唱えている主張でもあります。
来年度の農業農村整備関連の政府予算は、八千三百四十五億四千二百万円となっており、前年度比五・〇%のマイナスと報道されておりますが、もちろん問題は中身でありますけれども、地域コミュニティーにおける社会的役割の大きさに十分配慮した上で、農家、農協を含む農村政策のビジョンと来年度予算における具体的な施策について、それぞれ整合的にお答えください。お願いいたします。
亀井国務大臣
今委員御指摘のお話、農村地域のコミュニティーの問題、全く私も同感であります。また、私自身、神奈川県の人間でございますけれども、かつては農村地帯で、また今も農村の地域でありますから、都市の混住化、こういう一面と同時に、農業生産者と一体になった地域づくりをしておるわけでありまして、まさに御指摘の問題、全くそのとおりに感じておるわけであります。
農村は、やはり農業生産に当たりましての共同作業、こういうことを通じて地域コミュニティーが形成されておるわけでありまして、そういう中で農業者や農協や市町村、この果たす役割というのは大変大きいものがあるわけでありまして、また健全な地域コミュニティーを形成する面では欠かすことのできない重要なもの、こう思っております。
そういう面で、私ども農水省だけでなしに、関係省庁とも連携しつつ、地域活動への支援あるいは生活環境の整備等の施策を総合的に展開をする必要がある、このように思っております。
そういう面で、いろいろ本年度の予算につきましても、厳しい予算の中で農村振興の関連につきましては、いろいろ知恵を出し、ソフト事業あるいはまたハードの事業等々、それぞれミックスをして効率の上がる農村振興計画の作業の実施であるとか、あるいは美しい村づくりであるとか、あるいは支援事業とか、村づくり交付金とか、農村を振興する総合整備であるとか各般の地域づくりの問題につきまして努力をしてまいりたい、こう思っております。
津村分科員
御丁寧な答弁をありがとうございました。
続きまして、米凶作時の食料自給の確保及び生産者に対する災害補償に対しまして、備蓄米制度、そして農業共済制度の両面からお伺いいたします。
昨年、平成十五年は、大変な凶作の年でございました。特に米の収穫につきましては、作況指数が九〇まで落ち込んだこともありまして、生産農家の打撃は大きく、農業共済再保険の利用も必要となりました。
実は、その経緯につきましては、先般、一月三十日の財務金融委員会におきまして、私自身、特例措置に賛成する立場から、水稲はもちろん、大豆等を含む被災農家全体への早期措置を求める立場から質問させていただいたばかりであります。
この結果といたしまして、現在日本の備蓄米残高は大幅に減少しております。通年の日本の米消費量は、多少の変動はございますけれども、八百万トンを上回る水準で推移しております。言うまでもなく農作物の作柄は天候に大きく左右されるわけですが、実は、私が日本銀行の新人行員として調査統計局の景気分析部署で備蓄米を中心とする政府在庫の分析につきまして、平成六年ですが、前年の平成五年の大凶作を受けて米の緊急輸入が必要になった当時、この備蓄米の買い増しがどれだけ日本のGDPにプラスに寄与する計算になるか、そういった仕事をしていたことがあるんです。
当時の記憶をたどりますと、ほかの国の備蓄米や経済力の弱い発展途上国から米を買いあさるようなことも結果として必要となった。そういった経緯があったと思います。それはそれで仕方がない面も、もちろん日本の国益を考えればあるわけですが、しかし、国際社会に責任を負うアジアのリーダーとしては、こうした事態は二度と繰り返すことはできない、そういう思いもあるわけです。食糧自給の確保は、こう考えてくると、国際的な課題だと思います。
また、危機管理の観点からは、消費者に対するリスクヘッジ機能としての備蓄米制度はもちろんでありますけれども、一方で、生産農家に対する災害補償、リスクヘッジとしての農業共済の充実もまた大変重要な課題です。昨年の不作を受けての来年度予算の策定でありますから、平年とは違うまた特段の配慮や工夫が必要となってしかるべきだと思いますが、具体的にそうした取り組みがあればお聞かせください。
亀井国務大臣
昨年の冷害、そういう面で米の備蓄の御指摘でございますが、十五年十月末の百三十一万トン、こういう数字でありまして、平成十六年十月末には八十五万トン、この程度、こういうことで、それだけ減少しておるわけであります。
備蓄の問題につきましては、国の財政の問題等々、また専門家の方々の研究会もいろいろしていただき、御提言もちょうだいいたしまして、いわゆる百万トンの備蓄を維持する、こういうことで、これは、仮に平成十六年産米が十年に一度の不作である作況の九二やあるいは通常の不作である作況九四程度の不作となった場合でも、八十五万トンの備蓄はそれを補うことができる水準であるんではなかろうか。今後、先ほど申し上げましたとおり、百万トンの水準を目指すことを基本として備蓄運営を行うことによりまして安定供給を図ってまいりたい、こう考えておるわけであります。
天候に多分に影響される米政策であります。昨年の経験の中でも、やはり早植え、五月の早期の田植え、あるいは、実は昨日、私は岩手県の方に行っておりまして、岩手県の同じ地域でも、五月末に田植えをされた方はこの不作というかこれに影響が少なかった、こういうようなことでありますし、あるいは土地整備事業の深水管理等々の問題、いろいろなことをして、十分生産が順調にいくように、天候の面がありますけれども、技術の面でもいろいろ努力をしていく必要があるんではなかろうか、このように思っています。
また、農業共済につきましては、昨年度の冷害、このことにつきましては、いわゆる保険の仕組みを利用して運営されている農業共済、長期的には収支が均衡する、こういう予定で設計されておるわけであります。過去の災害時においても、農業共済再保険特別会計の再保険の支払い財源不足時には、積立金の取り崩し、そして一般会計からの繰り入れ、このことによって対処してきておるわけでありまして、長期的に収支が均衡する形で制度運営がされているところでありまして、今後とも、大きな災害が起きた場合にも、過去の例を踏まえつつ適切に対応してまいりたい、このように考えております。
津村分科員
今の御答弁、定量的な部分とそれから定性的な部分と両方あったと思うんですが、私が今回、地域コミュニティーにおける次世代人材の育成という観点から、農林水産省、総務省、文部科学省の各省から来ていただいた背景といいますか、冒頭に申し上げた問題意識でもありますけれども、将来に対して予見可能性というか一定の安心感、将来不安を解消するビジョンがないことが、地域から人が離れていく、過疎化というか人材不足の一つの背景になっていると思います。こうした備蓄米の問題にしてもあるいは農業共済の問題にしても、目の前にある課題ですね。しかし、目の前にある危機に取り組むというだけではなくて、やはりその先の中長期的なビジョン、あるいは定量的に数が合うという話だけじゃなくて、定性的に、今ちょっと具体的なお話少しあったんですけれども、どうやって、例えば早くつくるとか遅くつくるとか、技術的なことはいろいろあると思うんですが、そういった幅のある取り組みをしていただければということで、また来年度以降のお話も来年度以降伺っていきたいと思います。
関連しましてもう一つだけですが、これはむしろ提案に近い質問なんですけれども、生産者サイドのリスクヘッジとして、量ではなくてむしろ価格の問題なんですが、商品先物市場についてどういうお考えを持っているか。余り時間もありませんので簡単で結構なんですが、方向づけについて伺いたいと思います。
少しだけ私の問題意識を申し上げますと、そもそも日本の金融が昨今のモデルとしておりますのは欧米アングロサクソンの金融システムなわけですが、アメリカの金融市場というのがシカゴでの穀物の先物取引やそれに派生するデリバティブ商品の発達を背景にこうした発展を遂げてきたという歴史がございます。こうしたことを考えますと、商品先物取引というのは潜在的なニーズが大きいわけです。
残念ながら、現在日本では、商品先物取引といいますと、極めて投機性が高い商品だということで過度に忌避されている嫌いがあるかなと実は私は思っておるんですけれども、この市場の育成も含めて、経済産業省ともまたがる課題とは聞いておりますが、ただ、天候に左右されやすい農産物の特性を考えて定性的な取り組みをするという点では先ほどの質問と一貫したものでありますので、方向だけでも結構です、将来の可能性でも結構ですので、お聞かせください。
亀井国務大臣
農産物の価格変動リスク回避等の重要な役割をこの商品先物市場は持つ、こう思います。しかし、いろいろなかなか難しい課題もございまして、いろいろ先物取引をめぐります紛争の問題ですとか、先物取引のリスクを適正に管理し、信頼性の高い商品先物市場の基盤を確固たるものにする必要がある、私はこう思っております。特に、一番日本の農産物の中でも米の問題があるわけでありまして、このことにつきましても、関係の方々でいろいろ勉強をされていることも私も承知をし、私自身、米の卸売の仕事をしてきた経験がありますので、そういう認識は十分持っておるわけです。
ただ、いろいろ難しい問題もまだありますし、今回、経済産業省、商品取引所制度の改正、こういうことに取り組まれる、このようにも承知をしておるわけでありまして、将来の問題として十分私どもも検討してまいりたい、このように考えております。
津村分科員
亀井大臣、ありがとうございました。
地域における農村コミュニティーの持つ役割につきましては、単に農業という一つの産業の枠内にとどまらず、治安の確保、あるいは先ほどボランティアの話も少しいたしましたけれども、人材育成といった幅広い社会的なニーズに支えられたものであるということを重ねて強調いたしまして、農林水産省に関連する質問はこれで終わらせていただきます。
続きまして、御多忙の中、総務省、文部科学省から来ていただいているわけですけれども、少し時間も限られておりますので、総務省に通告させていただきました二つの質問を一つにまとめて、両方の点を含みながら御質問させていただこうと思います。
同じく地域コミュニティーにおける人材育成の視点からのお尋ねでございます。
くどいようですけれども、地域コミュニティーにおける自主防災組織、例えば消防団などが果たしている役割も、また先ほどの農村コミュニティーと同じように大変大きく、治安安定機能はもとより、各種公共サービスを代替している側面がある、こう考えるわけです。地域の事情もありますし、また基本的には市町村が管轄している場合が多いわけですから、自主防災組織への総務省としての支援策についてどのような、全般的な方向づけでも結構ですし、また具体的な今年度予算での取り組みでも結構です。これを一つの質問とさせてください。
それからもう一点ですけれども、私の所属する民主党は、効果を重視する一方で、コストについても厳しいチェックの目を向けておりまして、責任ある国民政党として、現在の財政危機は次の世代に対する私たち現役世代の責任を果たせない、そう考えているわけでありますけれども、そうした中で、コストのかからない地域コミュニティー活性化策として、ITやその他ソフト面での工夫を施した試みが全国で行われているのではないかと考えております。
先日、実は、総務省自治行政局地域振興課さんのつくられた、地域でのさまざまな活性化策の取り組みについての冊子を入手いたしまして、中でぱらぱら見ておったんですけれども、神奈川県や長野県、三重県といった地域では、自治体レベルでの取り組みが数多く例示されておりまして、また、私が身近に知る岡山市でも、電子町内会という全国に先駆けた取り組み、珍しい取り組みもございます。
もちろん、市町村レベルの取り組みが多いとは思うんですが、総務省としてどのように把握をされて、またどういう方向性を持って取り組んでいかれるのか、先ほどの消防団の話とあわせてお聞かせください。
山口副大臣
津村先生の御質問にお答えをさせていただきたいと思います。
今、二点ございましたが、まず一点目、消防団と自主防災組織というふうなお話がございました。先生御存じと思うんですが、消防団というのは、いわゆる非常勤の公務員としての位置づけで、かなり明確な形で消防防災を担っていただくというふうなことになっておりますが、これも御存じと思うんですが、今、約九十三万人が活動しております。なかなか、若干組織率が落ちる等々の問題はありますけれども、懸命にそこら辺の活動を活性化したいというふうなことで努力をさせていただいておりますし、同時に、本体の消防防災業務以外、いわゆる地域コミュニティーでのさまざまな活動に対しても、今後やはり若干期待をさせていただきたいというふうなことで、実は、平成十三年度から、そういった活動に対しても消防長官表彰というのをやらせていただいたりしております。
それと、自主防災組織の方でありますが、これもやはり地域コミュニティーの中における役割、あるいは防災における役割は大変重要だというふうなことで、力を入れて取り組みをさせていただいておりまして、平成十五年四月一日現在で、全国で十万九千十六組織、世帯数に換算をしますと、組織率が六一・三%というふうなところまで来ております。
同時に、そういった中で、消防組織法にも教育訓練の機会の提供を位置づけをしたり、実は、来年度、消防大学校で指導者講習会等を実施させていただきたい。さらには、Eラーニングを活用して教育機会の提供とか、そういったこともやらせていただいておりますし、先生お話しの地域での連携というふうな中で、都道府県及び市町村単位のさまざまな協議会の設置というふうなことにも取り組みをさせていただいております。
そして、第二点のITを活用した地域コミュニティーの活性化というふうなことでありますが、まさに先生お話しのとおりで、連帯感という意味合いからも、あるいはその地域の発展、さらには相互の情報交換から情報発信、大変大事な役割を果たしていただいておると思っております。
そういった中で、地域通貨を導入する、これも地域の活性化に役立つんじゃないかというふうなことで、実は、平成十六年度の新規事業として、ICカードとか携帯電話を活用した地域通貨モデルシステム、これを開発、実証をさせていただいて、それを希望する地方公共団体に、いわゆるプログラムというか、そういったことになると思うんですが、それを無償で配付をさせていただきたいと思っております。
そのほか、先生御存じと思うんですが、今お話があった岡山もそうなんですが、eまちづくり交付金というふうなことで、さまざまなそうした活動に交付金を措置もさせていただいております。
参考までに、私の地元の池田町という町でも、実は、ある町内会が全部この交付金を使って無線LANをやりまして、さまざまな活動にも取り組んでおるところでございますので、今後とも、地域コミュニティーの活性化というふうな観点から積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
津村分科員
山口副大臣、ありがとうございました。大変具体的なお話でよくわかりました。
人材育成といえば文部科学省になるわけですけれども、最後に、御多忙の中来ていただきました原田副大臣に、同じく地域コミュニティーにおける人材支援の観点から御質問をさせていただきます。
中曽根内閣を一つのターニングポイントといたしまして、義務教育における競争と淘汰の流れが強まっている現状にあると私は考えております。こうした流れにはさまざまな背景もございまして、教育論として一概に結論を導くことは本日の質問の範囲を超えるもの、そう考えておりますけれども、現在、多くの地方に存在する小中学校区単位での地域コミュニティーの社会的な役割につきまして、文部科学省が十分な認識と理解を持ってどのような施策に取り組んでいるのかという点に絞ってお伺いをしたいと思います。
既に東京都など一部で実施されている公立校における学区の自由化を例にとれば、例えば、都市部では鉄道網等も発達をしておりますし、また学校自体も多いわけですから、さまざまな学区での選択肢が広がるというメリットがついつい強調されるわけですけれども、しかし、地方での導入に関しては全く事情を異にしておりまして、そもそも学校間の距離が離れているケースもありますので、学力によっては相当程度距離の離れた学校に通ったり通わなかったりという児童や生徒が出てくることも考えられます。
そしてまた、私がここで強調したいのは、地理的な親近感を伴う学区という制度、これはさまざまな目に見えないつながりというか、心理的なつながり、言うなれば地元意識のようなものの背景にもなっている。そういうことを選挙活動等も含めて実感することが多いわけですけれども、そうした中で、地理的な親近感を伴う学区という制度が希薄化することによって、PTA等を介した親同士のつながりや、あるいは連合町内会などの地域コミュニティーの核となるグループが壊れていってしまうのではないか。
また、子供たちが、先ほども申し上げましたけれども、地元を思う心や地域に同居する多様なタイプの友人、知人、これは、例えば学力その他で割って特定の学校に集まるということではなくて、ある地域に同居するというその点でつながっている、いろいろなタイプの人がもちろん地域にいるわけですけれども、そういった多様なタイプの友人、知人をひとしく大切にする心がはぐくまれる環境というものが今後失われていくのではないかという懸念でございます。
教諭陣も含めて、義務教育に数値目標と効率化の観念が過度に持ち込まれることで、教育の内容そのものにも偏りが生じるおそれがありますし、また、先ほど申し上げた情操教育や地域コミュニティーとの連携、連帯という観点からも深刻な亀裂が生じるのではないかと心配をしております。
文部科学省として、また私も同じでありますけれども、職業政治家として地域での活動基盤をお持ちの原田副大臣に、地域コミュニティーのこうしたあり方に関するテーマにどのような取り組みスタンスを持っていらっしゃるか、お伺いできればと思います。
競争と淘汰と地域コミュニティーの保護育成を両立させていくための展望を示しながら、来年度予算における具体的取り組み等についても解説をしていただければと思っております。よろしくお願いします。
原田副大臣
教育の中心であります学校が地域社会、地域コミュニティーの中心的な活動を果たしておるのも重要なところであります。
御指摘のように、学校区の自由化につきましては、文科省も数年前から一つのメニューとして、それぞれの地域の自主的な選択の対象にしておりまして、また、このところの規制緩和の流れの中で、改めて学区の見直しということも注目を浴びておるところであります。
これは両面ございまして、一方では、個性ある子供を育てる、ないしは特色ある学校をつくり上げるというような意味で、自由化といいますか、選択の幅を広げるということも非常に大きなメリットがありますし、あわせて、議員が御指摘いただきましたように、そのことでせっかく地域の学校を中心にいろいろ高まっておったコミュニティーのきずながばらばらになってくるのではないか、そういう心配もあるわけであります。
私どもからすれば、最終的には自治体の、また教育委員会の判断において行われるもの、どちらも積極的に強くやれというふうにも求めておりませんが、あくまでも、このところの地方分権、地方自治、地方の自主性、そういうものに任せて制度を運用しておるところであります。
千葉県習志野市に秋津小学校というのがございまして、これは、ほかにも幾つもそういう先進的な地区があるようでありますけれども、ここは地域コミュニティーと学校との結びつきが非常に強い。さらっと資料を見せていただきましても、学校と父兄、そして地域の皆さんと本当に大変な活動をともにされておる。
こういうコミュニティーには恐らく非行も不登校もいないんじゃないか、こう思うような感じがいたしますけれども、例えば、動物の飼育小屋とか肝試しのツアーをやるとか、ベイサイドスポーツクラブをやるとか、さらには、こいのぼりを一緒に立てる、お化け屋敷をするとか、多少教育そのものじゃない部分もありますけれども、いずれにしても、そういうような地域一体となっての学校運営も非常に大事になっておるところであります。
要は、それぞれの地域が自主的に判断して、どうすればいいか、そういう意味では、学校の選択制もその中でしっかり地元で判断されるというようなことになろうかと思っております。
津村分科員
具体的な例も示しながらの御答弁、ありがとうございました。
本日、お忙しい中を金田副大臣も合わせれば四人の大臣、副大臣に御同席いただきまして、三十分にわたって御答弁いただきまして、ありがとうございます。
私がこの地域コミュニティーというテーマにつきまして、三つの省庁に三十分という短い中で御質問させていただいたのは、実はこのテーマは、特定の省庁で考えていただくものではなくて、やはりそれぞれに幅を持ってお考えいただくテーマだなということも意識しながら、あえてそうさせていただいたということもございます。
私、新米の議員でありますので、これからまたこのテーマについては自分なりに勉強しながらフォローさせていただければと思います。来年度以降、またこういった観点からも御質問させていただければと思っております。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
北村主査
これにて津村啓介君の質疑は終了いたしました。
| 予算委員会第六分会 第1号 2004年3月1日(月) 午後3時前55分散会 | 目次 |